感染症の予防に
感染力が強くて流行しやすい感染症、人によってはかかると重症化しやすい、あるいは後遺症が残る可能性のある感染症などに罹患するリスクを低減するために行われるワクチン接種のことを予防接種といいます。
ワクチンとは、感染症の原因とされる病原体(細菌、ウイルスなど)の病原性を可能な限り弱めて作られた生ワクチン、無力化された病原体の一部を集めて作られた不活化ワクチン、新たに新型コロナウィルスに対し開発されたmRNAワクチンがあります。これらを体内に接種していくことで、今まで罹患したことのない感染症に対しても免疫がつくようになります。その後、同じような病原体に感染したとしても、発症までに至らないか、発症したとしても軽度な症状しかみられなくなるとしています。
予防接種は、感染症に罹患するリスクをできるだけ低減する、家族など周囲の方々へ感染させないという目的で行われます。なお接種する方々が増えていけばやがて集団免疫を獲得するようになります。このような状況になればワクチンを接種できない方々が市中感染するリスクも減り、感染症が流行するリスクも防げるようになります。つまり社会全体を守るという意味においても予防接種は大変重要なものなのです。
当院では、以下のワクチン接種を行っています。
インフルエンザワクチン
毎年冬~春の季節にかけて流行する感染症で、例年であれば10月より各自治体で同ワクチンの接種が始まります。この場合、1回の接種による持続効果期間が約5ヵ月、また効力が発揮するまでには接種から2週間程度の期間が必要とされています。つまり効果をできるだけ有効にするためには、流行期間と重なるように接種することが重要です。そのためには遅くとも流行のピークを迎える1月よりも少し前の12月中旬までにインフルエンザワクチンの接種を終えるようにしてください。
当院での接種対応年齢は15歳(中3)以上となります。 なお2回受ける場合の間隔ですが、1回目を終えた4週間後に接種されるようにしてください。
肺炎球菌ワクチン
成人の肺炎の原因は様々ありますが、最も多いのは肺炎球菌によるものです。また肺炎は日本人の死因第5位でもあるわけですが、死亡者の9割以上が65歳以上の高齢者です。このことから肺炎球菌ワクチンに関しては高齢者などに限定されますが定期接種扱いとなっています。豊明市でも定期接種となるので一部費用が助成されます。ただし1回限定で、これまでに23価肺炎球菌ワクチンを接種したことがある方は対象外となります。詳細につきましては豊明市の公式サイトをご覧ください。
なお定期接種の対象にならなくても同ワクチンの接種は可能です(費用は全額自己負担になります)。
子宮頸がんワクチン(シルガード9)
ヒトパピローマウイルス(HPV)による持続感染で起きうる子宮頸がんを予防できるワクチンです。HPV感染のきっかけとなる初交前に接種が完了できると有効率が高いです。定期接種の対象となっていますので詳細は相談してください。
帯状疱疹ワクチン(水痘帯状疱疹生ワクチン、不活化ワクチン シングリックス)
帯状疱疹は、過去に罹った水ぼうそうのウィルスが神経節に残っていて免疫力が低下した際に再活性化して出現する皮疹です。頭部から足までどこにでも出現する可能性があります。痛みを伴うことが多く、皮疹は治っても神経の痛みを残すことがあり日常生活に支障をきたすこともあります。帯状疱疹ワクチンを接種することで発症を予防できます。豊明市のワクチン助成金も対象になっていますので詳細は相談してください。
新型コロナワクチン
2020年の世界的な大流行をはじめにその後も変異を繰り返し今もなお流行を繰り返しているウィルスです。これに対するワクチンは、今までにない「mRNAワクチン」という種類でしたが、劇的な発症者数の減少と軽症化を実現しました。ワクチン接種から間隔があくと感染率も明らかに上昇しており、反復した接種の有効性が示唆されているワクチンです。